政治・経済

天守を鉄骨で耐震補強 松本市教委が検討

鉄骨フレームによる補強を検討している松本城天守

 松本城の国宝天守の耐震対策について、松本市教育委員会は鉄骨フレームを使用した補強を検討している。鉄骨はお城の木材との区別が容易で、将来に実施を想定する解体修理の際に原状復帰が可能であることが理由だ。補強工事の実施時期は未定で、工事期間中に天守内に来場者を受け入れるかどうか検討する必要がある。文化庁との調整の上、可能な限り早期に基本設計に着手する。

 26日の市議会経済文教委員協議会に検討内容を示した。平成26(2014)~29年に実施した松本城天守の耐震診断の結果を受け、松本で発生が想定される大規模地震に備えて検討してきた。
 検討の軸となったのが、文化庁が本年度示した木造文化財建造物の保存についての考え方だ。150年周期の解体修理と30年周期の維持修理を繰り返すことで、価値の損失を最小に抑えられるとしている。
 松本城天守は昭和30(1955)年に解体修理が実施されたため、150年後の2105年あたりに解体修理を実施する必要がある。今回の耐震対策は解体を伴わない経過的な補強措置とする一方、安全確保水準を満たし、かつ原状復帰が可能な鉄骨を用いる案が上がった。
 どのくらいの工事期間になるかは、基本設計後に判明する。同様の耐震対策をした姫路城は5年ほどかかっており、来場者が工事の様子を見学できる措置がとられた。市議からは「姫路城と同じように、工事期間中も見学できるように検討を」といった要望が出た。
 市教委文化財課の竹内靖長・城郭整備担当課長は「史跡への影響をできるだけ小さくすることを第一に、効果的な耐震対策を実施したい。文化庁の指導を受けながら検討を継続する」と話している。