政治・経済

非耐震住宅は1万戸以上 松本市、解体の補助制度新設へ

市役所から見える住宅街。耐震性のない住宅は市内に1万戸以上ある

 1日に発生した能登半島地震を受け、住宅の耐震性に対する関心が高まっている。松本市住宅課には同地震以降、日常的にはない耐震診断の問い合わせが1日数件のペースで寄せられている。市内の住宅耐震化率は昨年9月末現在89.8%で全国平均(87%)を上回るが、耐震性のない住宅は1万戸以上ある。令和7年度末には92%とする目標の達成には、さらに踏み込んだ対策が必要だ。

 昨年9月末時点では、住宅総数10万6318戸のうち耐震性がないのは1万770戸。そのほぼ全てが、旧耐震基準の昭和56(1981)年以前に建てられた古い住宅とみられる。
 能登半島地震で多数の家屋が倒壊した石川県珠洲市の住宅耐震化率は51%と低かった。松本市の耐震化率は2年度末で88・8%、3年度末で89・2%、4年度末で89・7%と、じりじり上昇している。その要因は、解体や建て替えに伴い古い住宅が減少したことによる。
 古い住宅に対する耐震補強工事の補助は年間10戸未満、無料の耐震診断を申請して現地調査を受けた住宅の累計戸数は4年度末までで1960戸にとどまっている。「跡継ぎがいない」「高齢になり資金が足りない」などの理由で、改修に踏み切れない所有者が多いとみられる。
 市建築指導課は「このペースだと92%の目標に届くかどうか。まだまだ足りない」とする。市住宅課は「能登半島地震を受けて耐震性を心配する人は増えたと思う。ライフステージに合わせた住み替えも促したい」とし、耐震性が低いと診断された住宅を取り壊す工事の補助制度を来年度に新設する方向で検討している。