経験重ねて歌声に深み 丸山多江さん、21日に独唱会

安曇野市三郷明盛の声楽家・丸山多江さん(71)の14年ぶりのリサイタル「歌・折りふしに」が21日午後2時から、松本市音楽文化ホールで開かれる。前回リサイタルの平成22(2010)年以降、夫との死別や家族の介護、新型コロナウイルス禍などさまざまな出来事に直面し、独唱会から離れていた。古希を迎え、音楽と共に歩んだ半生を振り返りながら「これが最後」の思いで舞台に立つ。
「心の中に深くその位置を占める」15曲のプログラムを組んだ。中でも思い入れが強いのは、長年師事する松本市の声楽家・狭間壮さん(80)から丸山さんに贈られた4作品だ。「旅立つ君に」「夢をつむいで」など狭間さんの詩に曲をつけたオリジナルで、4曲まとめて披露するのは初めて。若かりしころ、幼い長男と死別した丸山さんの周囲には見せない思いに寄り添って書かれた作品などといい、丸山さんは「先生がお元気なうちに、ぜひきちんと聴いていただきたい」と心を込める。
他にもシャンソンやカンツォーネなどを選曲。長年親交のあるピアニスト・はざまゆかさんや、男性4人組バンド「ランダム・ソウト」に伴奏を頼んだ。
洗足学園大学音楽学部を卒業後、ヤマハ音楽教室講師として後進の指導に尽力した。音楽の幅を広げようと30代半ばから声楽を学び直し「歌の中に自分が入り込んでいく感覚」を覚えるようになったという。40年以上連れ添った夫を平成31年に病で亡くし、音楽活動を長年支えてくれた義母の老いに向き合い「人生には本当にいろいろなことがある」が「それでも音楽を続けてこられて良かった。感謝を込めて歌いたい」と話している。
入場料3000円。問い合わせはムジカコンパス(電話0263・77・5326)へ。