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お城整備計画案に33事業 松本市教委 二の丸御殿の復元盛らず

 松本市教育委員会は、松本城の今後の具体的な整備内容を定めた「史跡松本城整備基本計画」の案をまとめた。南・西外堀の復元と堀の浚渫を柱に、33項目の事業を盛り込んだ。従来の計画にあった「二の丸御殿の復元」は「二の丸御殿跡の再整備」に方針を転換。南外堀の復元を西外堀に先行して進め、令和13年度末の完了を目指すとした。

 文化庁の指導を受けて策定する同計画案は、幕末期の城の姿を可能な限り具現化するとし、史跡指定範囲の内外で整備する。第1期(令和5~14年度)は堀の浚渫や旧市立博物館の解体、第2期(15~24年度)は石垣修理や古山地御殿跡の整備、24年度以降は管理事務所の移転、本丸御殿跡の整備などを行うとした。
 約10年かけて進める外堀の用地取得は9割以上が完了しているが、水をたたえた堀の復元には、用地の一部で確認された自然由来の土壌汚染の問題を解決する必要がある。
 計画案では「調査・研究を進める」としつつも、復元する堀底の遺構面を覆う「保護層」の盛り土として、現地の土壌を有効活用することを検討する考えを盛り込んだ。スケジュールでは南外堀は9年度着工、西外堀は12年度着工としており、7年度が最終判断の時期となる見通しだ。
 平成11(1999)年に市が独自に策定した従来の計画では、二の丸御殿、辰巳隅櫓、足駄塀などさまざまな遺構の「復元」を整備項目に入れたが、根拠となる写真などがそろわず実現には至っていない。同計画案の復元事業は南・西外堀のみで、多くは「跡の整備」としている。市は「復元の考え方の幅が広がった。VR(仮想現実)技術やサインを活用した見せ方もある」とし、必ずしもハード整備にこだわらない姿勢を示す。
 市は12日に開かれる市議会経済文教委員協議会で計画案の詳細を示し、意見公募(パブリックコメント)を経て年度末に策定する。

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