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松本城外堀跡から出土の木杭列や鯱瓦など解説 発掘調査の現地説明会に100人

発掘現場で説明を聞く参加者たち

 国宝松本城の南・西外堀跡で進む本年度の発掘調査の現地説明会が9日に開かれ、最新の調査報告に約100人が訪れた。南・西外堀の平面や断面形状を確認するために発掘が進む4カ所について、松本市教育委員会の担当職員らが解説し、新たに見つかった木杭列や石材、鯱瓦などを紹介した。

 南西隅櫓があった場所では、礫層に混ざって見つかった鯱瓦や水野家や戸田家の家紋入りの瓦が展示された。鯱は隅櫓のものだった可能性があるが、隅櫓の鯱瓦は既に市立博物館に所蔵されているものがあり、今後、年代や関係性の研究が必要になるという。
 一帯の外堀は三の丸側から二の丸側に向かって緩やかに深くなる箱掘の形状だったことも判明。現地表面からの深さは2.4メートル、水深は2メートルほどだったと推定される。参加した安曇野市の観光ガイド・小川尚美さんは「実際の現場で、自分の目で見ることができてとても良かった。国内外の観光客の案内に役立てたい」と話していた。
 文化財課の竹原学課長は「市民の関心の高さを感じる。新たな歴史の宿題も浮上したが、解明の過程にもロマンがある」と話していた。