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松本城と上高地の観光客激増 コロナ禍前上回る勢い

大勢の観光客でにぎわう上高地の河童橋周辺(10月23日)

 松本市内を訪れる観光客数が、今秋から新型コロナウイルス禍前の水準を上回る勢いになっている。10月の松本城の入場者数は、コロナ禍前の令和元年の同月に比ベて42%増の10万8365人。上高地の来訪者数も6月から元年を上回る水準に達し、9月は元年同月比で11%増の19万7000人となった。円安を背景とした外国人旅行者の増加が影響している。

 コロナ明け以降、松本城の月別入場者数が元年の実績を上回ったのは10月が初めてだ。多彩な行事や本丸庭園の無料開放もあって人数が突出し、国宝天守への入城制限をかけた日は10月としては異例の18日に上った。想定以上の混雑に、登城を諦めるツアー客もいたという。外国人に限っては5月からコロナ禍前を上回る水準で、毎月1万人を超えている。
 上高地の来訪者数は4~9月の累計が100万2600人で、元年の同期間と比べ1・5%増となった。10月の実績は集計中だが、バスやタクシーの駐車場が満車となる日が多く、入り込みはコロナ禍前を上回る見通しだ。特に外国人が多く、従来の欧米系に加え、アジア系の団体客も夏ごろから復活しているという。
 観光需要の回復が顕著となる一方、課題となっているのがホテル業界の働き手の確保だ。上高地のあるホテルは「宿泊者数はコロナ禍前の水準を超えているが、人手不足の影響が否めない」。空室があっても予約で埋めることができない状況で、外国人雇用に軸足を移すことも視野に検討している。
 例年、観光客数が落ち込む冬場も好調を維持できるかどうかも課題だ。市は「全ての旅行者が何度も訪れたいと感じる上質な観光体験を提供できるように、戦略的で多面的な取り組みを続ける」としている。