特定空き家を代執行で解体 朝日村で1例目

特定空き家の解体作業を進める業者

 朝日村は本年度、西洗馬の戸建て住宅1軒を、放置すれば倒壊の恐れがある「特定空き家」に認定し、略式代執行による解体作業を10日に始めた。村内では1例目で、更地にして年度内に購入希望者に売却する。村は今回の事例を、空き家の発生予防や適正な管理の指導、空き家利活用の促進につなげていく。

 約274平方メートルの敷地に、昭和54(1979)年に建築された木造モルタル瓦ぶきの平屋(約58平方メートル)で、初日は専門業者が内装材の撤去を手作業で進めた。今後重機での作業も行い、約2週間で解体を終える予定だ。
 代執行は10月3日に開始し、約1カ月かけて屋内にあった大量のごみを片付けた。片付けを行った事業者によると天井までごみが積み上がった状態で、家庭ごみ約10トンがあった。雨漏りなどで腐っている箇所も多かった。代執行終了は11月中を見込み、土地の売買は相続財産清算人となる弁護士を介して行う。
 住宅地にある物件で、近隣住民から放置を心配する声や対策を求める声が上がっていた。村によると、1人暮らしだった所有者が昨年1月に死亡し、相続人は相続を放棄。村が代執行に必要な条例や空き家対策の計画を制定・策定し、準備を進めてきた。村建設環境課の担当者は「1例目で学んだノウハウや手続きの流れを今後の空き家の適正管理に生かしていきたい」とする。
 ごみ片付け費用は約165万円、解体費用は約279万円。解体費の約半分は国の空き家対策総合支援事業の補助金を活用している。