地域の話題

世相映す瓦版 今年も 妻籠の藤原宗三さん制作 23日の時代行列で配布

完成した瓦版と制作者の藤原さん

 南木曽町の妻籠宿で23日に開かれる時代行列「文化文政風俗絵巻之行列」に合わせて来場者に無料配布される恒例の瓦版が、今年も完成した。地元の藤原宗三さん(83)が手掛け続けて56回目となった今回は、多くの人に届きやすいよう風刺的な言い回しをあえてやめ、率直な言葉で1年間の国内外の情勢に鋭く言及した。

 記録的な猛暑となり地球温暖化が心配される中、「それでも懲りず」混乱が続く世界情勢を憂い「暴力にハ暴力でハ何も生まれない」と訴える。国内では防衛費拡大や東京電力福島第1原発の処理水海洋放出などの動きに触れて「先行き不安也」とした。
 挿絵は妻籠宿の町並みにした。9月に歴史的な町並みを生かしたまちづくりを考える「信州歴史的まちなみフォーラム」が同宿で開かれており、妻籠の町並み保存の歴史を見つめ直し、次代へつなぐ願いをこめる。後継者の育成も重要と着物姿の若者も描いた。
 書きためたメモから話題を選び出し、約1カ月かけて9月末に完成させた。その後にイスラム組織ハマスとイスラエルの衝突などがあり、加筆した。今年は行列が練る範囲が元に戻る予定で「最近の情勢を考えると厳しい内容になったが、ささやかな庶民の思いを多くの人に見てもらえれば」と願う。
 瓦版は行列の中の売り子役が配って回る。