連載・特集

2023.11.10 みすず野

 山形村トレーニングセンターで村教育委員会が鉢盛中学校の協力を得て作った縄文土器のミニチュアを手に入れた。販売機に300円入れるとカプセルに入った土器が1個出る。村内で出土し、県宝に指定されている五つの土器。このうち特別な時にランプとして使ったとされる釣手土器と、種子の保存などに使われたとされる有孔鍔付土器が出てきた。プラスチック製だ◆長野自動車道の建設工事を前に関連の埋蔵文化財調査が行われた。当時は区画整理やほ場整備、大型施設建設など自治体の公共事業も次々に着工。発掘調査も各地で行われ、現場へは毎日のように顔を出した◆あのころ、埋蔵文化財調査の取材は〝必須科目〟だった。教育委員会の担当者と親しくなろうと、出土品整理や土器復元現場にも顔を出してあれこれ話し、関連の本を買って付け焼き刃の勉強もした◆耕作しているわずかな農地は縄文・平安時代の遺跡調査をした一帯にあり、黒曜石の破片やたまに矢尻も出る。土器のミニチュアにはこれらを入れよう。公共事業のつち音が盛んに響いたころに比べると、全く別の国のようだ。どちらがいいというのではなく。