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ペット連れ避難の課題探る 松本市が南部屋内運動場で訓練

大型犬の入ったケージを避難所に運び入れる飼い主と市職員

 松本市は23日、3月に「ペットと過ごす避難所」に指定した市南部屋内運動場(野溝東2)で、実際にペットを連れての避難訓練を実施した。県動物愛護会松塩筑支部の協力を得て、犬や猫を連れての避難所での生活を試し、問題点を探った。受け付けの混雑や、ケージに入った大型犬を運ぶのに手間取るなどの課題が見つかり、市は早急に改善する。

 「ペットと過ごす避難所」は市保健所と危機管理課が中心となって、南部屋内運動場のある芳川地区の協力を求めながら開設を探ってきた。テニスコート4面分の広さがある屋内運動場に避難世帯用の区画を設け、ケージやキャリーケースに入ったペットを受け入れることにした。
 訓練では避難所担当の市職員が受け入れの準備をして、動物愛護会の会員4組が犬と猫を連れて避難してきた。受け付けで市民の個人情報のほかペットの種類などを書類に手書きする必要があり、1組当たり数分間がかかった。大型犬をケージに入れて運ぶのに人手がいるなどの課題が出た。
 訓練後には反省点が挙げられ、参加した小野キミ子さん(75)は「飼い主が被災して世話ができない場合もある。普段のペットの生活の記録を付けておくことが大切」と述べた。愛護会松塩筑支部で副支部長を務める山田敏子さん(69)は「避難所にはさまざまな動物が来る。おとなしくケージに入るなどのしつけは必須」と話していた。
 市は「ペットの災害対策ガイド」を公式ホームページで公開し、飼い主に日頃の備えを呼び掛ける。市危機管理部の藤松智彦部長は「災害はいつ起こるか分からない。避難所の問題点を早急に改善し、市民への周知も図りたい」と話していた。