連載・特集

2023.10.1 みすず野

 きょうは「日本酒の日」。日本酒造組合中央会が昭和53(1978)年に制定したそうだ。理由のひとつは10月に入ると全国で酒造りが始まること。もうひとつは、「酒」の古字の「酉」が十二支の10番目に当たるという理由◆「滋酔郎」の俳号で俳人としても活躍された随筆家の江國滋さんは「このネーミングは気に入らない」という(『きょうという日は』美術年鑑社)。ウイスキーやワインなどを洋酒と呼ぶのは自然だが「お酒といえば日本の酒にきまっているではないか」と◆日本そば、日本茶と同じ情けなさを感じるといい「そばはそば、お茶はお茶、お酒はお酒でいい」と、1年365日、お酒を飲まない日はないという滋酔郎さんはいうのだ。そして「秋はお酒のうまい季節である」と結ぶ◆秋祭りの季節到来。近年、直会の料理は仕出し弁当を取ることが増えたようだ。かつて祭りの主役だった80歳を過ぎた男たちは冷や酒を飲みながら少しずつ箸を運び、穏やかに話に加わり、お開きになるときれいに片付け、しっかりとした足取りでささっと帰って行く。コロナ禍で機会が失われていたが、今年はそんな姿が見られそうだ。