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山間地での大地震に備え 奈川で松本市の総合防災訓練

倒壊した建物からの救出方法を消防署員から学ぶ住民たち

 松本市の第44回総合防災訓練が27日、奈川文化センター夢の森で開かれた。奈川地区で開催するのは市村合併後初めてで、住民42人を含む320人余りが参加し、山間地での大地震に備えた。

 境峠・神谷断層帯や糸魚川―静岡構造線断層帯による大地震を想定して、多様な訓練を行った。山間地は交通の寸断などにより自助がより重要になることから、住民たちは真剣な表情で倒壊家屋からの救出訓練などに取り組んだ。市内で奈川地区だけにある女性消防隊によるヘリコプターの誘導訓練も行った。
 自衛隊と市赤十字奉仕団による給食訓練や避難所開設・運営訓練なども行われた。降雨体験車や土石流体験3Dシアターもあり、昭和58(1983)年に奈川地区であった土砂災害のパネル展示を見ていた高齢の女性たちは「ヘリで食料を届けてもらった」「大変だった」と振り返っていた。
 奈川地区町会連合会の勝山裕康会長は「若い男手が少ないので、消防団経験のある高齢者や女性の力が必要になる」と表情を引き締め、臥雲義尚市長は「災害はなくせないが、減災の取り組みで被害を小さくすることはできる。奈川の取り組みを他の地区にも広めたい」と話していた。