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松本市立病院 よりよい産科に 個室改装や食事充実

改修された産科の個室と、無料配布される飲み物パック

 松本市立病院(波田)は、9月1日に産科をリニューアルする。出産した母親が子供と過ごす個室を改修し、食事メニューの充実も図る。病院内での快適性を上げ、減少している分娩(お産)件数の増加を目指す取り組みで、病院は「長い人生の中で大事な1週間を楽しんで過ごしてもらえるようになれば」としている。

 出産した人専用の個室は5室あり、その全ての部屋の壁紙を貼り替え、照明を白熱灯からLED(発光ダイオード)照明に替えた。洗面台には看護師手作りの装飾を施す。産婦人科の横山舞紀看護師長は「日常生活とは違うホテルのような雰囲気をイメージした」という。すでにリニューアル済みの個室を利用し、同病院で2回目の出産を経験した女性(32)は「改修前の部屋は少し殺風景だった。色合いが変わり明るくなった」と高く評価した。
 食事メニューの充実は、1人1回の提供だった祝い膳を9月1日から毎日提供する。パンやパスタ、ご飯などの主食に牛肉や天ぷら、サラダなどの副食を見栄えのする器に盛り付け、一般の入院患者とは違う形で提供する。栄養科の清沢幸江室長は「食事は病院内での一番の楽しみ。栄養面も考慮した食事で喜んでもらいたい」と話す。
 出産経験者の意見を取り入れ、夜食やおやつも提供する。電気ケトルを新たに置き、カフェインが入っていないインスタントの飲み物数種類を無料で用意し、個室内で自由に飲めるようにする。病院側の負担は増えるが、リニューアル後も出産費用は変えない。
 市立病院の分娩件数は平成29(2017)年度は412件だったが、昨年度は175件に減少し、出産予定者が一人もいない日もあった。同病院は「快適性が増したのでぜひ利用を」と呼び掛けている。