塩尻市中央公民館 戦争体験を聞き取り 図書館本館で一部初公開

塩尻市中央公民館が戦後80年(令和7年)に向けて行っている戦争体験の聞き取り作業の結果が、市立図書館本館で初公開されている。戦中、戦後を経験した市民が生々しく語った内容をまとめたパネルを展示し、戦禍の記憶や反戦の願いを次世代に伝えている。市立図書館の企画展「明日へ伝える昭和の戦争展」に合わせた。22日まで。
これまでに聞き取りをした9人のうち、市内の男女5人の体験談が展示されている。
山田通夫さん=聞き取り時95歳=は戦中、東京の軍需工場で働き、昭和17(1942)年に空襲に遭った。当時の惨状を「あまりにもひどい死体に悔しく、また陸軍が(中略)スコップで死体を車に投げ込んでいた様子を見て怒りを覚えた」と語っている。
松野喜美子さん=同95歳=は同18年に名古屋の軍需工場「名古屋陸軍造兵廠」に就職し、何度も空襲を経験した。人々が防空壕に入り切らず、ガスタンクに隠れることもあった。「B29(米軍の爆撃機)はすさまじい音がしてまるで雷の音のようだった。空襲後の中川運河には死体がたくさん浮かんでいた」と振り返る。
聞き取りは、中央公民館主任の安藤寿秀さん(40)が手掛けている。市北部交流センター・えんてらすで開かれた平和学習に携わったのがきっかけで「体験者は高齢。聞き取るのは今しかない」と令和3年度に始めた。
聞き取り内容は、令和7年に冊子などの形でまとめる考えだ。安藤さんは「地元の人の体験談を通じ、戦争や平和を自分のこととして考えてもらいたい」と話している。
企画展では戦争体験談のほか、戦時中の国策グラフ誌、戦意高揚を図るチラシ類など約60点を展示している。