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高校野球 ウェルネス・中原英孝監督が勇退 完全燃焼の40年

準決勝の試合前、シートノックを打つ中原監督

 「全国で戦えて勝てるチーム。それだけを40年間追求して、なりたいと思ってやってきました」
 松商学園で22年、長野日大で10年、日本ウェルネス長野で8年間指揮した中原英孝監督(78)が、25日の試合を最後に勇退した。「やっぱり勝ちたかったですよ」と最後まで勝負師の一面をのぞかせながらも、表情はすがすがしかった。

 春夏通算で甲子園に11回出場し、県内最多の14勝を挙げた名将。松商では平成3(1991)年の春の選抜で準優勝し、同年夏の甲子園で8強入りを果たした。選手たちに厳しい指導と練習で向き合った一方、時代の流れで学業と両立した野球のあり方も模索した。
 「(40年で)一番力を入れたかも知れない」とするウェルネスには、平成27年に就任。進学してきた生徒の個性は十人十色。中学生時代にさまざまな事情を抱えた生徒もいた。まずは「休まず学校に来てもらいたい」。強化したのが、地域とのつながりだ。道路清掃などに積極的に取り組み、住民の「ありがとう」や「お疲れさま」の言葉が生徒の力になるのを感じた。もちろん野球にも全力で、卒業生や現役の生徒から「県内で一番厳しい練習」とされる指導を徹底。29年には秋の県大会で初優勝を飾った。
 勇退を決めてから選手たちに「贈り物(甲子園)をくれや」と伝え続けた。結果は歴代最高の夏4強。「力以上によくやった。よく食らいついた。この3年間で県内一番の成長率」と選手をたたえ、最後は駆けつけた教え子らと笑顔で球場を後にした。