昔は一対?深志神社と筑摩神社の狛犬2体 24、25日の天神祭りで拝殿に展示へ

並んで社殿に鎮座していた姿を、よみがえらせたい―。松本市の深志神社(牟禮仁宮司、深志3)と筑摩神社(林邦匡宮司、筑摩2)でそれぞれ1体ずつ保管されている狛犬が、24、25日の深志神社例大祭(天神祭り)で拝殿前に並べて展示される。同じ寄せ木造りで大きさ、デザインとも酷似している2体について両神社の関係者は「もとは一対だったのでは」とみており、"時を超えた再会"を実現させる。
深志神社の狛犬は口を開けた「阿形」で、筑摩神社は口を閉じた「吽形」。2体とも高さ約40㌢で、中世~近世の作とみられる。狛犬研究家の高松伸幸さん(54)=安曇野市穂高有明=によると、顔立ちや胴体の彫り方、寄せ木の形状や継ぐ位置など多くの点が酷似している。筑摩神社の氏子の指摘を受けて3月、深志神社の狛犬を筑摩神社に運んで見比べた際にも、両神社の宮司や高松さんをはじめその場にいた関係者全員が「もとは一対」であることを確信した。
ただ資料が乏しく証明することは難しい。深志神社の狛犬は松本藩主の小笠原家の奉納とされ、宝物として本殿に保管されていることから「何らかの理由で小笠原家が分けたのでは」という人もいるが推測の域を出ない。
高松さんは「そこを想像するのも狛犬の楽しみ」と語る。一対の狛犬のどちらか欠損すると、被害のないもう一方も一緒に撤去されてしまうことは実際にあるというが「両神社の狛犬はそれぞれ大切に守られてきた。それだけ人々の思いが込められており、貴重な存在」と指摘する。
筑摩神社の狛犬は普段は宝蔵庫に保管されており、深志神社の狛犬と同様、一般が目にすることはできない。牟禮宮司は「一対での展示を模索してきて、最もふさわしいお祭りの場で実現に至った。多くの人に見てほしい」と話している。
展示時間は24日が午後7時~8時半、25日が午前11時~午後0時半となっている。8月10、11日には筑摩神社の夏の例大祭でも展示される。