地域の話題

小平奈緒さん 前向きな生き方語る タイムス広告会特別講演会 

来場者の質問に柔らかな表情で答える小平さん

 市民タイムスと、中信地域の有力企業で構成するタイムス広告会は5日、松本市水汲のキッセイ文化ホールで特別講演会を開いた。平昌オリンピックのスピードスケート金メダリスト・小平奈緒さん(37)=相澤病院所属=が、実体験から生まれた人生を愉しむための名言の数々を、600人の来場者に惜しみなく伝えた。

 小平さんは「人とつながる」という演題で、スケートを始めた幼少期から現在に至るまでの経験を語った。
 信州大学在学中から18年間共に歩んだ結城匡啓コーチは「自立を促してくれる存在だった」といい、学びの仕掛けの一つである技術討論会では「知らないことを知ることに感動する力」の大切さを実感したと語った。2年間のオランダ留学では言葉の壁の前に「自分が日本語でも『こうしたい』というものを持っていないことに気付かされ、考え抜く時間だった」と振り返った。
 昨年の北京五輪では1カ月前に足首を捻挫し、弱みと向き合う覚悟が求められる中で「弱い自分を受け入れ、自分がコントロールできることに100%意識を注ごうと考えた」と話した。1000メートルで10位になった後に語った「成し遂げることはできなかったけれど、自分なりにやり遂げることはできた」という言葉を紹介し、「やり遂げることは全員ができる」と力を込めた。「目標の先に『生き方』を持つこと」の大切さも助言した。
 質疑応答にも気さくに応じ、来場者は笑いあり涙ありの時間を楽しんだ。