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高校野球「最後の夏」仲間を全力応援へ 池田工高の女子選手・榛葉礼華さん

真剣な表情で練習に取り組む榛葉さん(左)

 8日に開幕する第105回全国高校野球選手権記念長野大会で、中信連合として出場する池田工業高校の女子選手・榛葉礼華さん(17)=3年=は、スタンドからエールを送る。「みんなに届くように大きな声で応援したい」と力を込める。

 榛葉さんは同校初の女子選手。小柄だが、走り込みや重いタイヤを押すトレーニングなど、男子と同じ練習メニューをこなす。50㍍走は7秒5と俊足で、小林武郎監督は「守備のスタートダッシュが一番速い。エラーも少ない」と評価する。
 兄の影響で小学校3年生から野球を始め、高校でも迷いなく選手の道を選んだ。だが、公式戦に出られない悔しさは想像以上だった。「中学までは頑張った証しだった背番号が、どんなに頑張ってももらえない」。気持ちが後ろ向きになり、1年時には部活を離れたこともあった。
 それでも野球がやりたくなり、復帰を願う仲間の声も受けて部活に戻った榛葉さん。「ガッツのあるプレーをすれば盛り上がってくれる。試合に出なくても必要とされている」と気持ちを切り替えていった。片付けなどの雑務にも誰よりも早く取り掛かり、小林監督は「榛葉の存在が規律の原動力になっている」とたたえる。
 3年間を振り返り、「分け隔てなく接してくれる仲間に恵まれて、野球が本当に楽しいと思えた」と笑顔を見せる。共に厳しい練習を乗り越えてきた仲間の活躍を願い、スタンドからチームを鼓舞する。