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朝日のボルシチをウクライナ避難民が試食 商品化へ向け意見交換

試作品を味わう協会の役員やウクライナからの避難民

 朝日村産ビーツを使って、ウクライナ郷土料理・ボルシチのレトルト商品化を目指す村のプロジェクトがこのほど、名古屋市の日本ウクライナ文化協会事務所を訪ね、ボルシチの試食会を開いた。ロシアによる軍事侵攻でウクライナから市内に避難している人や市内在住の協会役員に試作品を味わってもらい、より良い商品になるよう意見交換した。味はおおむね好評で、会を通じて親交も深めた。

 プロジェクトは4月から試作を重ね「ウクライナ人が認め、日本人も食べやすいボルシチ」を目指す。メンバーで村内でK'sカフェを営む樋口浩司さんを中心に試作し、トマト缶、ビーツ、キャベツ、ジャガイモ、豚のスペアリブ、香草のディルなどを煮込んだ。
 村からは小林弘幸村長、プロジェクトの上條典泰代表、事務局の村観光協会職員ら5人が出向いた。試作品は冷蔵で届け、会場で温めて食べた。協会の川口リュドミラ理事長、榊原ナターリヤ副理事長、避難民ら約10人が味わい「おいしい」「好きな味」「赤い色がきれいに出ている」と好評だった。改良点として「塩分をもう少し減らして」「具材の切り方をもっと細かく」と助言があった。
 協会役員が昨年、村産ビーツのおいしさに感動したことがきっかけで交流が続く。昨年、村で初開催したウクライナ支援イベント・ボルシチまつりには名古屋から避難民を招いた。昨年、朝日を訪れたエリザベータ・コロトコヴァさん(23)、サムソノバ・テチアナさん(29)は、村からの訪問を喜び「ボルシチは家や故郷を思い出す味。景色がきれいな村にまた行きたい」と話した。リディア・バルコさん(67)は「人生でこうして避難生活を送るとは思っていなかった。平和な暮らしは尊いこと」と故郷を思いながら話した。
 小林村長は「ビーツとボルシチを村の一つの名物にしたい」とPRした。上條代表は「朝日の人も関わってくれるウクライナの人も自信を持てるような活動になればいい。地域でビーツやボルシチがより広がれば」と願っている。

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