連載・特集

2023.6.7 みすず野

 ウェストン祭で歌う子供たちの後ろに写る山は霞沢岳だろう。上高地というと、河童橋や大正池からの穂高の連なりに目を奪われがちだが、梓川の岸辺で仰ぐ山容は隣の六百山とともに威厳たっぷり◆若い日、徳本峠から尾根筋をたどった。木札にあった「ようこそスタジオ・ジャンクションへ」の意味は後に分かる。やっとピークを一つ越えたら、奈落(と感じられた)へ下ってからの登り返し...頂上が遠かった。体力的に再訪はたぶん厳しい。忘れ難い山である◆直近の上高地はコロナ禍さなかの3年前、6月下旬だった。田代池辺りの彩りはオレンジ色のレンゲツツジから黄色のニッコウキスゲに似た花へと移りつつあったが、今時分はどうか。車で行かれる近場へ足を運んでみた。高ボッチでも美ケ原高原でも―はっきりしたことは言えないけれど―季節の足取りがいつもよりせっかちなように見える◆立ち寄った松本市寿小赤のアジサイ寺、弘長寺では「今年は早い。盛りが(今月)下旬にも始まりそう」と聞いた。花巡りには早めの行動が肝要かもしれない。わが家の"ど根性"タチアオイは既に8割の高さまで花を付けている。

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