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老朽化...火の見やぐらの撤去 松本市が進める 

本年度中に撤去される予定の火の見やぐら(里山辺)

 松本市は、老朽化して倒壊の恐れがある火の見やぐらの撤去を進めている。昨年度までの5年間に、消防団詰め所の建て替えなどに併せて13基を解体した。本年度から数年間は、詰め所以外の場所にある単独のやぐらを集中的に撤去する計画だ。防災意識を呼び起こす記念碑的な存在だが、利用価値の低下とともに姿を消している。

 市内には市有、町会所有などの火の見やぐらが約120基ある。鉄骨造りで高さは8~13㍍、多くは昭和30年代~40年代前半に建てられたとみられる。市は平成30(2018)年度に2基、令和元年度に4基、2年度と3年度に各3基、昨年度に1基撤去した。
 本年度は10基前後の解体を予定する。大半は農地、集会所付近などにある単独のやぐらで、分団から撤去の要望が出されている。
 火の見やぐらは、通信網の発達で災害時に使う本来の機能は必要なくなり、サイレンの設置台などに活用されている。活動で水にぬれたホースを干す分団もある。しかし老朽化が進めばいずれ管理できなくなるとして、消防団から単独のやぐらの撤去要望が40基以上市に寄せられている。市消防防災課は「地元の意向を確認し、倒壊の恐れのあるものは早急に着手したい」としている。
 防災啓発で定期的に半鐘を鳴らすことも現在はしていない。市消防団の上條博文団長は「やぐらが傾いたりさび付いたりして心配。団員の安全が何より大事だ」と話し、団としてやぐらは使用しないとしている。

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