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美しき天蚕の魅力紹介 松本で展覧会始まる

天蚕文化を多角的に紹介する展示会場

 展覧会「私たちの天蚕ものがたり」が22日、松本市大手3のギャラリーノイエで始まった。野生の蚕、天蚕(山蚕)にまつわる文化に触れてもらおうと、松本地域の天蚕農家や染織家、研究者らでつくるヤマコプロジェクトが主催。実際の山蚕や繭、生糸、紡ぎ糸、総天蚕の織物などを並べ、自然がもたらす豊かな恵みを紹介している。31日まで。

 飼育の過程や、繭を余すことなく使う糸作りの文化、特有の美しさを織りによって引き出す熟練の技などを、道具や作品、映像や文献によって紹介している。翡翠色の天蚕繭は一枚の着物を織るのに必要な3000個を用意した。終齢を迎えた山蚕の幼虫も展示し、絶えず顎を動かしながらクヌギの葉を食べる様子を見学できる。
 天蚕農家の古田清さん(77)は「百聞は一見にしかず。まずは実際を見て美しさに触れてほしい」。染織家の本郷孝文さん(79)は「文化が生き残るには活用の広がりが不可欠。多くの人に認知され、新たな可能性が開ければ」と話している。
 午前10時~午後6時で入場無料。24日午後5時には天蚕飼育、30日午後5時には作品制作に関する対談会もある。