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農作業バイト集まらず 農家、人手不足に苦慮

ブドウ畑で作業する山辺果樹部会の植木副部会長。一人で作業しており、アルバイトがいないと収穫までたどりつけないという

 中信地区の農家が募集している農作業アルバイトが今季、集まらず、農家が困っている。新型コロナウイルスの感染が収まりつつある中、他業種での求人の増加が理由の一つとみられる。農家は知人に頼むなど人集めをしているが、それだけでは対応できない状況だ。

 松本市里山辺、入山辺地区のブドウ農家などでつくる山辺果樹部会は、アルバイトが見つかっていない農家がほとんど。副部会長の植木宏さん(53)のブドウ農園は昨年、9人雇用したが、今年は知人を通して2人が決まっただけだ。植木さんは「昨年までは農作業はコロナの心配が少ないからと人が来てくれたが、今年はさっぱり。子育て中の女性など働く時間は相談に応じるので応募してほしい」と語る。
 JA松本ハイランド農業労働銀行でも、アルバイト求人数に対し、応募が少ない状況だ。4月15日に開いた農作業集団面接会には農家60軒が参加したが、求人が充足できたのは3割にとどまった。担当者の轟美知子さんは「このままだと労働力が不足してしまう」と語る。
 中信の3市5村を管内とする松本公共職業安定所の3月有効求人倍率は1・65倍。新規求人数のうち、期間にほぼ定めのない「常用」が前年同月比で17・9%増加している。池上仁所長は「雇用情勢が堅調に推移しており、(求職者が)常用雇用を望んでいる人が多い状況ではある」と話す。
 山辺果樹部会は今年から新規就農の募集を始めており、就農を考える人にまずはアルバイトで農作業を体験することを勧めていく。JAはホームページに農家39軒の求人90人を掲載し、労働力を確保したいとしている。アルバイトに関する問い合わせは、山辺果樹部会は植木さん(電話080・3753・0920)、農業労働銀行は(電話0263・29・0394)へ。