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水エネルギー研究 信大が松本にセンター建設へ

会見で新事業への意気込みを語る中村学長(右から2人目)

 信州大学(松本市旭3)は、世界トップレベルの研究実績を誇る水循環や水由来のエネルギーの分野で、企業との共同研究や実証実験の拠点として利用する「水・エネルギー共創研究センター(仮)」を、松本キャンパス内に建設する。市、県と、燃料電池や水循環の分野で実績のある山梨大学の計4者による事業で、文部科学省の補助事業に採択され、補助金20億円(上限)を獲得した。

 信大の中村宗一郎学長ら4者の代表が、27日に松本キャンパスで会見を開いて明らかにした。事業は、国の「地域中核・特色ある研究大学の連携による産学官連携・共同研究の施設整備事業」に採択された。
 信大はこれまで、海水の淡水化や、水中の不純物を取り除く技術で発展途上国の飲料水問題の解決に寄与するなど実績を上げてきた。建設するセンターではこれらの技術を発展させ、地域の集落単位での小規模水循環や、太陽光で効率的に水素を製造する技術の開発などを進める。松本市は開発された技術の実証実験の場を提供し、県は県内のスタートアップ(革新的なアイデアで短期的に成長する企業)とのマッチングなどを担う計画だ。
 センターは5階建て延べ4500平方㍍で、さまざまな分野の研究者が共同で使うオープン実験室や、個別の研究用のレンタルラボなどを備える予定だ。資材高騰の影響で具体的な着工の時期は決まっていないが、信大の杉原伸宏副理事は「できれば本年度中、遅くとも来年度中にはめどをつけたい」とした。
 センターを拠点にした研究には、成果の世界展開を視野に文系の研究者も含めて信大のさまざまな機関が横断的に関わっていく。中村学長は「大学が地域振興を本気で担う時が来た。大きな予算を得て、今後もますます地域のために貢献していきたい」と意気込みを語った。