小学生棋士が支部名人戦県大会を初制覇 鎌田小の岡村奏汰君

松本市の鎌田小学校4年の岡村奏汰君が将棋で快挙を成し遂げた。第52回全国支部将棋対抗戦・個人戦(通称・支部名人戦)の県大会で小学生として初めての優勝を果たし、4月21日から都内で開催される東地区大会の県代表に選ばれた。2年前に初めて将棋の楽しさを知った10歳が、信州の棋界に新たな歴史を刻んだ。
支部名人戦は日本将棋連盟が主催し、都道府県予選を勝ち抜いた棋士が東西地区に分かれて戦う。昨年は2千人余りが全国各地の予選に出場した。昭和47(1972)年から50年以上続く歴史ある大会だ。岡村君は3月5日に塩尻市で開かれた長野県大会に出場した。県内11支部から参加した10~73歳24人の中から勝ち上がり、最年少出場で優勝した。
岡村君が将棋に興味を持ったのは2年前の小学校2年生の時だ。近所の児童センターが開いた将棋大会で「偶然」優勝したことをきっかけに将棋のとりこになった。将棋教室に通い始め、数々の戦法を自分の物にしていった他、書店に通い買い集めた将棋の本は、今では約80冊を数える。自宅ではタブレット端末を手にし、ネット将棋のアプリで全国各地のプレーヤーと対戦する日々だ。理論と実践の両輪がかみ合い、これまで全国規模の小学生大会に3回出場するなど、短期間で急成長を遂げた。
将棋はほとんど経験がないという父・章義さん(43)は「ここまでになるとは思ってもみなかった」と息子の成長に目を見張る。「やりたいことをやってほしい」と静かに背中を押していた。
4月の東地区大会では年齢も経験も大きく上回る相手との対戦が予想される。「上には上がいる」と謙遜気味の岡村君だが「将来は藤井聡太君のようなプロ棋士になりたい」と活躍を誓った。