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町屋の再生工事完成 松本・東町 日本料理店に

再生工事が完了間近の建物外観

 松本市大手4の旧善光寺街道に面した元呉服店の再生工事が完了に近づき、4月に日本料理店として生まれ変わる。昭和初期に建てられたとみられる町屋で、建築設計事務所が建物を取得し再生を手掛けた。古い建物への投資と事業展開、景観保全につながるモデルケースとしたい考えだ。

 建物は木造2階建て、延べ約170平方メートル。Y建築設計(松本市大手5)の熊谷善紀さん(49)が建物と景観を守るために購入・再生を決めた。
 建物は北側に傾いていたため、ジャッキアップして傾きを直した。内部の通り土間を残して、東町に面した入り口から客席への通路とした。柱、天井なども含め、既存の風合いをできる限り生かした。
 洗い出しの外壁は部分的に補い、新旧の違いを味わいとした。屋根には銅製のといを付けた。北側の壁はしっくいでグレーと白の2色に仕上げた。
 建物では、うなぎ・すっぽん料理を手掛ける「山勢」が4月1日に営業を始める。店主の富永佳介さん(42)は「建物、空間が良かった」と振り返る。
 古い建物には当時の職人の知恵と技術、文化的な要素が詰まっている。熊谷さんは「古民家に投資して利益が生まれる仕組みをつくりたい。まちの景観維持にもつながれば」と話している。