教育・子育て

素顔の卒業式を思い出に 各小中学校が制限緩和で模索

たくさんの思い出を胸に感謝の気持ちを込めて卒業の歌を練習する6年生(筑摩小学校)

 中信地方の小中学校の卒業式が間近に迫った。新型コロナウイルス感染拡大が落ち着いて制限が緩和されることから、各校は感染対策に注意を払い、歌う場面を設けるなど式典を少しずつ従来の形に戻そうとしている。マスクの取り扱いは国や県の方針に基づき、卒業生は可能な限り素顔を見せ、声を出す時や卒業生以外は着用する学校が多い。

 松本市の筑摩小は児童の希望で、6年生60人が卒業ソング「旅立ちの日に」を歌う。心を込めて練習に取り組み、前児童会長の田中虎太郎君(12)は「皆で歌うと気持ちが一つになってうれしい。コロナで大変だったけれど、学校生活を締めくくるよい卒業式にしたい」と話す。保護者の人数制限はせず、5年生が在校生代表で出席する。同校は「卒業生と保護者にとってすてきな一日にしたい」と願う。
 中学校は学年数が少なく感染対策しやすい面もあり、在校生全員が出席する学校が複数ある。安曇野市の穂高東中は全学年が出席し、卒業生合唱もある。同校は「3年生は小学校卒業式も中学入学式もコロナの制限下だった。全校でしっかり送り出したい」と力を込める。
 大規模校は慎重に進める傾向にある。塩尻市で最多児童数の桔梗小は6年生の卒業合唱は行うが、昨年度に準じて在校生や来賓は参加しない。同校は「完全に終息しているわけではないので、主役(6年生)はマスクを外しても感染対策を行う」と話す。
 一方、小規模校はマスクや来賓について柔軟な対応を取りやすい。11人が卒業する生坂村の生坂中は、出席者の間隔を十分に空けて換気をするなど対策を徹底した上で、全生徒がマスクを外し、歌も歌う。同校は「子供のために顔が見え、よい思い出となる式にしたい」と願う。王滝村の王滝小も同様に、卒業生と在校生がマスクを外す。
 朝日村の朝日小は「地域の方に成長を見てもらい、児童にも地域の皆が温かく見守っていることを感じてもらえたら」と願い、地元の来賓2人を招く。各校ができることに最大限に取り組み、卒業生のために精いっぱいのはなむけをする。