地域の話題

望月美術館20年ぶり復活 安曇野・穂高 創設者の孫 夢引き継ぐ

作品整理や掃除が行われている望月美術館

 長野銀行の前身・長野県商工信用組合の創業に携わった望月俊之輔さん(故人)が安曇野市穂高の自宅に造った私設美術館を、孫の鷲澤幸毅さん(38)=穂高有明=が復活させる。中学校の元音楽教諭で、昨年は芸術支援の事業を立ち上げた鷲澤さん。「祖父からのバトンタッチを受けた気持ち」と、自身の教え子らと館内の掃除や作品整理に取り組んでいる。

 望月さんは昭和25(1950)年発足の県商工信用組合の創業者の一人で、長野相互銀行に転換後は専務などを務めた。地元の芸術家とも親交が深く、平成元(1989)年に2階建ての蚕室を改造して、私設美術館「望月美術館」を開設。絵画や彫刻、陶芸品など300点以上を収蔵展示した。望月さんが亡くなって約20年前に閉館したが、収蔵品はそのままになっていた。
 鷲澤さんは望月さんの次女の息子に当たる。都内の音楽大学などで声楽を学び、オペラ歌手を志すも、かなわず帰郷。県内で8年間中学校教諭を務めた。自身の経験から芸術支援に携わりたい思いが強く、令和元年から1年間、イタリアのフィレンツェに留学。昨年12月に事業を立ち上げた。
 美術館の復活は事業とは別で、「自分の力を人のために最大限使った祖父は、自分にとっても指標。多くの人に芸術に触れてほしいという祖父の夢を引き継ぎたい」と語る。美術館には、自身の事業に関わり同館の整備も手伝う教え子らの作品も展示する予定だ。
 21日には、収蔵作品の関係者らを招いてこけら落としのコンサートを開き、以降は一般にも公開する。入館の申し込み・問い合わせは鷲澤さん(電話090・3525・3345)へ。