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かつては西総堀土塁跡にあった稲荷社 「地元へ戻したい」住民向け見学会の開催検討

かつては西総堀土塁にあったとされる稲荷社

 松本の稲荷社信仰を研究する民俗学者の市東真一さん(淑徳大学地域創生学部開設準備室所属)らが、かつては史跡・松本城西総堀土塁跡(松本市大手2)にあったとされ、現在はお城近くの木曽御嶽本教の施設に「仮住まい」している稲荷社を地元に戻すことを模索している。存在を知らない人も多いとみられることから住民向け見学会の開催を検討している。

 市東さんによると、稲荷社は西総堀土塁公園が整備された前後で撤去され、その後は行方が分からなくなっていた。市の収蔵庫にあることが分かり、市東さんが引き取った。縦横高さが約1㍍で、明治時代に作られた可能性がある。魂抜きされており、ご本尊はない。
 昨年8月から木曽御嶽本教の施設の一室に置かせてもらっているが、長くは好意に甘えられない状態だという。西総堀土塁近くで置いてくれるところを探したが見つからず、市は土塁には戻せないとの回答だったという。市東さんは「松本の稲荷信仰、明治以降の土塁の活用を知る上で貴重な存在で元に戻すのがベスト。もしくはその近くに設置するのが望ましい」とする。
 19日は地元・土井尻町会の栗田幸一町会長が稲荷社の状態を確認した。「稲荷社を含めて地元の歴史を伝えるものは大切にしていきたい。まずは町内で説明会を開き存在を知ってもらえたら」と話していた。