筑北・昭和町、坂北駅と歩む

29日は国民の祝日「昭和の日」―。今年は「昭和100年」の節目の年でもある。筑北村坂北のJR篠ノ井線坂北駅の周辺には「昭和町」と呼ばれる地区がある。昭和2(1927)年に駅が開設されて間もなく誕生したといい、東側に旧善光寺街道の青柳宿に向かって広い駅前通りが延びている。
昭和町は、駅を中心に周囲150~200メートルの範囲に広がり、村の若者定住促進住宅「夢パレット坂北」がある。新型コロナウイルス禍前は子供行事も盛んで、子供みこしや相撲大会が行われていた。
旧坂北村教育長を務め、『村誌さかきた』の執筆にも携わった鬼熊一恵さん(84)=中村=によると、大正末期に村内で新駅を開設する機運が高まり、村議会が国へ請願。昭和2年11月3日に坂北駅が完成した。その際、駅前に新たな道路や街を作る計画があり、同4年8月に道路の坂北停車場線が開通した。鬼熊さんは「昭和町の成立はこの道とほぼ同時期と見てよいのでは」と話す。
駅前通りで理容店を営む桐山惠子さん(82)は北安曇郡小谷村出身で、嫁いでから約60年間、昭和町の移り変わりを見つめてきた。「嫁いだ時は駅周辺に旅館やお菓子屋さん、雑貨店、鮮魚店もあり、にぎやかだった。今はほとんどのお店が閉まりお年寄りばかりになったけれど、愛着ある町」と語る。桐山さんは「もっと駅の周りにお店や住民が増えてもいいと思う。例えば坂北駅に新たに西口と住宅団地が整備されてにぎわう未来があっても面白いかも」と夢を語る。