2025.4.29 みすず野
「昭和の日」は、国民の祝日に関する法律によると「激動の日々を経て、復興を遂げた昭和の時代を顧み、国の将来に思いをいたす」とある。「激動の日々」は戦前・戦中の20年を指すのだろう。「復興を遂げた」戦後は80年になる◆戦後50年の平成7(1995)年、小紙は1月から8月まで「新世紀へつむぐ―松本の戦後50年」を56回連載した。松本平のさまざまな分野で活躍、提言している人を中心に取材して、その歩みを通して松本平の戦後の動向を浮き彫りにしようと試みた◆約50人に取材した。出発、学ぶ、伝統、市民運動、まち、発展、平和のくくりで「シベリアの死の淵から生還」が1回目。以後、「悲惨を極めた大陸脱出行」「引き揚げ者が血と汗の開拓」などと続く。「復興を遂げた」日々の記録と人々の記憶を刻むことができたような手応えを覚えている。連載は『信州まつもとの戦後50年』として刊行された◆それから30年。登場願った多くの方が亡くなられた。連載に携わった6人のうち、社に残るのは小欄のみとなった。書籍化された郷土出版社も今はない。30年という年月が、決して短くないことを改めて知る。