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住民が守るレトロ駅舎 大正15年建設の安曇追分駅

駅舎の前で笑顔をみせるメンバー

 北アルプスを望むレトロな雰囲気の駅舎―。安曇野市穂高北穂高のJR大糸線・安曇追分駅の現在の木造駅舎は大正15(1926)年に建てられ、昭和・平成・令和と100年の間、たたずまいを変えることなく、地元の人たちの足を守ってきた。住民たちは地域のシンボルとして大切にし、美化活動や見守りに取り組んでいる。

 地元・島新田区の50~70代の住民でつくる「安曇追分駅を愛する会」(藤原政時会長)は毎春、駅構内の花壇に花の苗を植えて彩っている。今年はシャクヤクやジギタリス、マリーゴールドなどを植えた。50平方メートルほどの小さな花壇だが春、夏、秋とスイセンやユリ、コスモスなど20種類の花々が駅利用者の目を楽しませている。
 平成31(2019)年、市が同駅を含む市内のJR6駅を無人化する方針を示した。島新田区の住民有志は、安全面や利便性などから無人化を再検討するよう署名活動をして要望。窓口の営業時間を短縮し、有人で乗車券販売が継続されるようになった。その時のメンバーらが会を立ち上げ、花壇整備やごみ拾いを行っている。駅を管理する豊科駅の都竹祐治駅長は「皆さんの活動や存在は駅利用者の癒やし。愛情を持ってくださり感謝の思い」と話す。
 安曇追分駅と北アルプスの風景は「旅情をかき立てる」として、JR線の「青春18きっぷ」のポスターに使われたこともある。同駅は高校生の利用も多く、昨年は駐輪場も新設された。同会事務局の竹内悦子さん(74)は「駅は住民の心のよりどころ。皆で盛り上げていけたら」と願っている。