連載・特集

2025.4.27 みすず野

 松本市の安原地区に立つ「歴史マップ」に興味を引かれる。教育者や医師、社会運動家として多大な功績を残し、歴史に名をとどめる偉人の誕生の地が四つもあるからだ◆共立女子大学(東京都)を運営する共立女子学園の前身・共立女子職業学校を設立した鳩山春子。東北帝国大学(現東北大学)初代総長で帝大に初めて女子入学を許可した澤柳政太郎。日本外科学会創立者で信州大学医学部付属病院の前身の松本市立松本病院創設に尽力した近藤次繁。普通選挙の実現へ先陣を切って運動した木下尚江。いずれも明治維新前後に生まれた、そうそうたる名前が並ぶ◆マップは表示によると、安原地区歴史研究会が平成20(2008)年に設置した。歴史的建造物の紹介もある。近藤のことが記載された場所には「野口英世の手を直した」とフェルトペンでの手書きも見られる◆どうして安原地区で次々に偉人が輩出されたのか。信濃史学会の後藤芳孝会長に伺うと「向学の志や能力を持った人が多かったのではないか」と偶然を強調した。たまたまかもしれないが、地区住民は誇りにしていいだろう。時は春。誕生地散策にもいい季節だ。