「老いるほど若くなる」展 最後の公募展きょう開幕

本年度を最後に21年の歴史に幕を下ろす、松本市美術館の公募展「老いるほど若くなる」が26日に開幕する。シニア世代(70歳以上)を対象とした美術展の先駆けとして定着し、これまでの応募総数は4654点に上るが、時代の変化を鑑み区切りとする。第10回の節目でもある今回は、規定を満たした全作品を無審査で展示する形を取り、過去のグランプリ(天衣賞)受賞作品と併せた294点を一堂に並べた。6月1日まで。
30都道府県の70~98歳から日本画、油彩画、版画、コラージュなど計300点の応募があった。平均年齢は78・6歳。家族や旅の思い出、悠久の自然や反戦への願いなど題材は多岐にわたる。長野県の望月太門さん(88)は一日の農作業を終えて湯船に入る至福の時を描き、作品名を「はああーふうう」と名付けた。兵庫県の松本彰子さん(72)は、夫との死別やコロナ禍を乗り越えて打ち込む水彩画への情熱を作品に込めている。
25日は関係者向けの内覧会があり、小川稔館長は「激動の時代を生き抜いた諸先輩方の思いや物語が詰まっている。作品の前で耳を傾け、聞こえてくる声との対話を楽しんでほしい」と話していた。
入場料は1000円(大学生と70歳以上の市民は600円、高校生以下無料)で電子チケット割引がある。5月16、23日午後2時には小川館長のギャラリートークも開かれる。