大王わさび農場110周年 わさびの花祭り盛況 開拓まんぢゅう投げ節目祝う

安曇野市穂高の大王わさび農場で22日、開拓開始から110周年に感謝を込めた「わさびの花祭り」が始まった。かつて開拓に協力した農民たちに振る舞われたという「開拓まんぢゅう」(黒糖まんじゅう)・餅投げで節目を祝い「わさび漬け」の体験も限定復活し、来場者にぎわっている。23日まで。
開拓は、創始者の深澤勇市が大正4(1915)年に始めた。当時は一帯が不毛の湿地で、大雨のたびに犀川が氾濫して住民を困らせていたという。ワサビ田の掘削による土砂で堤防を築き、治水で地域に貢献しようという思いもあった。
開拓には地域の農民が協力し、完成するまでの20年間で延べ約40万人が携わった。この間、感謝の気持ちを込めた黒糖まんじゅうが振る舞われ、作業で疲れた農民たちはまんじゅうを食べて元気を取り戻したという。
まんじゅう・餅投げでは、110周年にちなんで1100個の餅やまんじゅう、菓子などが用意され、集まった200人以上に向けて投げられた。場内では栽培されているワサビの花が満開を迎えている。農場運営課の三城守課長は「ワサビを身近に感じ、気持ちを安らかにしてもらえたら」と祭りに寄せる思いを語っていた。
同農場は安曇野を代表する観光地で、新型コロナウイルス禍の前よりも来訪者が増えており、年間約80万人が訪れている。外国人観光客の割合が年々高まっているという。