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ラジオ体操仲間が門出を祝福 信大卒業の扇谷さん、晴れ姿で感謝

卒業袴姿で、ラジオ体操の仲間と記念写真に納まる扇谷さん

 信州大学(本部・松本市旭3)の卒業式があった21日、理学部4年生の扇谷真由さん(23)=松本市沢村=は、卒業袴で朝の松本城公園を訪れた。1年生の夏から交流を深めたラジオ体操の仲間に、晴れ姿を見てもらうためだ。ラジオ体操の仲間は70代、80代が中心で、孫の門出を見るように感慨深げだった。

 「本当にお世話になったので、皆さんにどうしても(袴姿を)見てもらいたい」という願いを聞き、ラジオ体操仲間の一人で、美容師の川上勝子さん(79)=大手5=が協力を買って出た。扇谷さんは午前4時すぎに起き、川上さんが5時から着付けをした。「ラジオ体操第2」が始まるタイミングで松本城公園に到着すると「真由ちゃーん」「きれいだよ」と声が上がった。スマホで写真撮影会が始まり、扇谷さんは「有名人になったみたい」と照れた。
 北海道出身の扇谷さんが、ランニング途中にたまたまラジオ体操をする人たちを見かけ「子供のころの懐かしさ」を感じて飛び入り参加したのが始まりだった。毎朝の体操とおしゃべりですっかり仲良しになり、扇谷さんは教授が認める地元通にもなった。絵手紙講師の佐野文子さん(78)=城西2=は「本当にいい子で元気をもらった。自分の孫みたい」と話し「卒業おめでとう」と大書した紙製の横断幕を持参した。
 一緒に訪れた母親の知佳さん(54)は、仲間に囲まれる娘の姿に「こんなに愛情を注いでもらって...」と目をうるませた。扇谷さんは、春から信州大学の大学院に進み、留学を経験したマレーシアでも研究を続ける。多忙な毎日となるが「松本に居るときは絶対に体操に来ます。それが当たり前なので」。朝日に負けない明るい笑顔で、卒業式の会場に向かった。