豊科郷土博物館の植物調査部 いきいき活動、標本は貴重な資料に

安曇野市豊科の市豊科郷土博物館・友の会に一風変わった部会活動がある。植物が好きな会員による「植物調査部」で、特定の野外で植物を採取して標本を作り、学習会で専門的に学びを深め、標本を同博物館の資料として保管・蓄積する活動をしている。これまでに作成した標本は約3700点にもなる。
会員は市内外の12人で、同博物館学芸員の松田貴子さんが中心となって月2回活動している。平成30(2018)年度の発足から蓄積した情報が、絶滅の恐れがある動植物や重要な自然環境の情報をまとめた「市版レッドデータブック」の改訂にも反映された。
年度ごとに1~2カ所のフィールドを設定し、4~10月は毎月通っている。昨年度は明科地域の長峰山、本年度は筑北村で行い、新年度は三郷地域を予定する。希少種を含めて年間300~400点を採取して標本にしている。観察会とは異なり、歩ける範囲で確認した植物は全て採取して名前は基本的に自分で調べている。標本は低温処理後に同博物館で保管している。
6日に同博物館で行われた学習会では、ヒメオドリコソウとモミジバヒメオドリコソウの標本を見比べながら違いを学んだ。モミジバヒメオドリコソウはホトケノザとヒメオドリコソウの交雑種と考えられている。会員たちは「次見るときに違いが分かる」と楽しそうに話していた。
発足当初から活動を楽しんでいる二木典子さん(66)=松本市島立=は「植物の名前を言っただけでも話題を共有できる。"植物の推し活"が一緒にできて、同じ熱量で話ができる」と、調査部の魅力を語っていた。
新規会員を募っている。問い合わせは同博物館(電話0263・72・5672)へ。