塩尻市 松枯れ対策費、新年度に上限設定へ 厳しい財政事情考慮
塩尻市は新年度、松くい虫被害対策の事業費について、予算の上限を設定する方針を明らかにした。4日の市議会3月定例会で、平間正治氏(清風クラブ)の一般質問に、花岡昇農林部長が答えた。公共施設の大規模改修など事業費がかさむ厳しい財政事情の下、際限のない追加補正はしない考えだ。
平間氏は、松くい虫被害対策費について、本年度9月、12月の追加補正で当初を含め1億3000万円超となったことを挙げ、「"天井なし"的な予算計上が財政に影響を及ぼす」と指摘。新年度一般会計当初予算案には関連経費5700万円を計上しており、「予算上制限を設ける考え方はないか」と尋ねた。
花岡農林部長は「市民の安全確保が最優先。補正は特にライフラインに関わるものに必要に応じて検討する。新年度の被害状況を見て、補正が必要と判断した場合は上限を設定して対応する」と述べた。
市は昨年12月に市議会から防除方針を示すよう意見が出たことを踏まえ、4月の公表を目指し「市松くい虫被害防除方針」(平成27年度策定)の改定を進めている。従来の全木伐倒くん蒸処理ではなく、市街地や道路沿線など生活圏での枯損木処理対策を最優先し、北小野、宗賀、洗馬など被害先端地での防除対策を集中的に実施し、マツタケ山など地域の財産保全に重点的に取り組む。他の樹種への転換もエリアを広げる。
本年度に松くい虫の被害を覚知した本数は1月末で1767本と前年同期比621本増で過去最多となった。処理量は1097本(林業事業体への委託910本、個人・団体の補助申請処理187本)にとどまる。