人材確保、企業に危機感 新卒採用へ広報活動解禁

令和8年3月に大学などを卒業予定の学生の採用に向けた企業の広報活動が今月解禁され、3日に松本市本庄1のホテルブエナビスタで合同企業説明会が開かれた。勤務地が松本地域や大北地域にある69社が出展。学生たちはブースを回って熱心に話を聞き、本格的な就職活動をスタートさせた。
松本と大町の職業安定協会が主催した。建設、製造、サービスなど幅広い業種がそろい、各担当者は自社の魅力や勤務形態などを紹介した。扉ホールディングス(松本市深志1)の採用担当・小池佑佳里さん(31)は「人材はほしいが、なかなか厳しい。松本の魅力を発信する事業内容や転勤なく働けるといった現実的なことを伝えたい」と話していた。
塩尻市から県内の短期大学に通う1年の女子学生(19)は「イメージとは違う会社の一面が見えて視野が広がった。就職は早めに決めたい」と意気込んだ。
新卒採用を巡っては、企業の人手不足を背景に学生優位の「売り手市場」が続く。解禁日などの日程は政府からの要請にとどまるため、先行して採用活動を進めている企業もある。
松本公共職業安定所の池上仁所長は「求人側の若い人に対する採用意欲は相当高まっているが難しく、地方は特に深刻」という。一方で、興味のあることを親元から通える場所で実現したい学生は多いとし「知名度にとらわれず、地元企業の良さを感じてほしい」と願っていた。