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穂高の古民家・等々力家 宿泊・飲食施設に再生・活用へ 扉HDなどが令和10年にも開業

協定を結んだ扉HDの齊藤社長(中央右)ら共同事業体の代表者と、太田市長(中央左)

  江戸時代に松本城主の狩猟休憩場として使われた安曇野市穂高の古民家「本陣等々力家」が、宿泊施設や飲食店などの複合施設として再生・活用される見通しとなった。市が民間から活用提案を募り、旅館業・扉ホールディングス(HD、松本市)を代表法人とする4社の共同事業体が選ばれた。必要な改修をした上で令和10年中にも開業したいとしている。

  本陣等々力家は敷地が約3300平方メートルあり、市有形文化財の長屋門のほか主屋、座敷など11棟で構成。以前は有料で一般公開されていたが、当主が死去して平成28(2016)年頃から空き家となり先行きが心配されていた。所有者から相談された市が事業提案を募ったところ4者の応募があり、選定委員会で扉HDが交渉先に選ばれた。
 計画によると、同社は等々力家周辺の建物も含めてリノベーションを行い、1棟につき最大4人の宿泊施設や、地元食材を生かしたレストラン・カフェ、工芸体験などができる交流スペースを整備する。開業に向けた総事業費は約5億円を見込む。
 14日に事業化の詳細協議に向けた協定締結調印式が市役所で開かれた。扉HDの齊藤忠政社長は、本物を体験したいという国内外の高付加価値の旅行ニーズの高まりに触れ「豊かな自然がある安曇野のシーンはまさに本物。等々力家を一つのエンジンに考えて交流・関係人口を増やしたい」と述べた。太田寛市長は「文化遺産としての古民家再生のモデルケースの第1弾と考えている」と述べた。