穂高牧の古幡開太郎さん 山岳写真家・田淵行男の書籍計40冊を市内中学校に寄贈

田淵行男記念館(安曇野市豊科南穂高)の友の会会長・古幡開太郎さん(73)=安曇野市穂高牧=が26日、山岳写真家で昆虫の生態を研究した田淵行男(1905~89)の関連書籍を穂高東、穂高西の両中学校に各20冊寄贈した。どれも長年かけ個人で集めた本で、両校は新年度から図書室にコーナーを新設する。
古幡さんは、両校の前身の穂高中学校を卒業した。穂高牧に16年間住んでいた田淵とは家族ぐるみの付き合いで、影響を受けて登山、昆虫採集・観察にのめり込んだという。
寄贈したのは、昭和26(1951)年刊行の『田淵行男山岳写真傑作集』(アサヒグラフ臨時増刊号)などで、両校に同じ本をそろえた。北アルプスでのチョウの観察を記録した『ヒメギフチョウ』、失われつつある地元の風景を写した『安曇野挽歌』など、今では手に入りにくい本も多い。
穂高東中の校長室で贈呈式が行われ、古幡さんは「田淵のことを子どもたちに知ってもらいたい。若い人に山に登ってもらいたい」と寄贈の理由を説明した。著書については、「写真だけでなく、表紙のデザイン、内容の構成も田淵が手掛けた」と話した。
穂高東中の赤羽文恵校長は「貴重な本を受け継いでいきたい」、穂高西中の宮澤陽子校長は「自分たちが住んでいる場所の素晴らしさを気付くきっかけになる」と感謝していた。
県内では学校登山の実施校が減少する中、穂高東中は燕岳(2763メートル)への1泊2日の登山を続けている。穂高西中は、新型コロナウイルス禍で中断しているが「新年度、自然学習の選択肢の一つとして、希望者を対象に燕岳への学校登山の復活を検討している」(宮澤校長)という。