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涅槃図の物語を熱心に学ぶ 松本市立博物館の特別展「絵解き」に120人

「お羽根ざし」と呼ばれる指し棒を持って絵解きをする小林さん

 松本市立博物館(大手3)で開催されている特別展「春を待つ涅槃図」で、釈迦入滅の日とされる15日、涅槃図に描かれた物語や仏教の教えを解説する「絵解き」が行われた。32年にわたって仏教画の絵解きを続けている長野郷土史研究会副会長の小林玲子さん(72)=長野市=の軽妙な口演に約120人が耳を傾け、釈迦の最期に思いを寄せた。

 浮世絵師・葛飾北斎の孫弟子に当たる弘探が天保13(1842)年に描いた涅槃図(市重要文化財)の絵解きを行い、釈迦を囲む弟子や神々、動物にまつわる逸話を紹介した。
 息子の危篤の知らせを聞き天上から駆けつける姿が描かれた摩耶夫人は、「釈迦を産み7日で天に昇ってしまったため、『なんとかこの手で息子を抱きたい』と急いでいる」と解説した。
 新潟県南魚沼市から訪れた岡村卓洋さん(49)は母と2人で暮らす自身と重ね合わせ「母が子を思う気持ちは変わらない。親孝行をしてあげたい」と話していた。
 特別展は3月3日まで。2月22日には博物館学芸員によるギャラリートークも開かれる。