心房細動に新手術法 信大病院循環器内科が導入

信州大学医学部付属病院(松本市旭3)の循環器内科は先月、心臓疾患の不整脈の中で最も多い心房細動の新しい手術法「パルスフィールドアブレーション(PFA)」を導入した。心臓に通したカテーテルの先端部に瞬間的に高電圧をかけ、異常をきたした細胞を狙って治療できる方法で、周辺組織への影響が少なく治療時間を短縮できる。患者の身体的負担が軽いのが特長だ。
不整脈は心臓を規則正しく動かすための電気信号に異常が起こる疾患で、心房細動では心房が小刻みに震えて脈が速くなる。血液のかたまり(血栓)ができやすくなり、脳梗塞の危険性が高まる。日本には100万人の患者がおり、特に70歳以上では10人に1人と言われる。
信大病院は県内最多の年間200人強の治療を行っている。これまでは、心臓にカテーテルを通して原因となる心筋の組織を焼き、異常な電気信号を遮断する手術法「カテーテルアブレーション」を実施していたが、心筋近くの食道や横隔膜に炎症が起きるなど合併症が課題だった。
県内では長野中央病院(長野市)もPFAに取り組んでいるが、信大病院が導入したのはカテーテル先端の形状を変化させ効率的な治療を可能にした最新機種で、先月28日に70代の男性患者が同機種を使った県内初の手術を受けた。これまで1時間かかっていた手術時間が20分に短縮された。合併症もなく経過は順調という。
執刀した同科・不整脈治療学講座の岡田綾子准教授は「心房細動は早期発見、早期治療が重要。PFAはとても有効なので、積極的に検討してほしい」と話している。