地域の話題

満蒙開拓団の経験聞く 村在住の山口さんから 後世につなぐ活動をする俳優・菅谷さんとも交流

山口さん(左から2人目)を囲み、旧満州での経験を聞く地域住民と菅谷さん(左)

 山形村小坂の喫茶店「まるます喫茶」で15日、戦中の国策で旧満州(現在の中国東北部)に入植した農業移民「満蒙開拓団」の経験者の手記や証言を聞く交流会が開かれた。旧満州に渡った人たちの手記を掘り起こし後世につなぐ活動に取り組み、13~21日に同喫茶に滞在中の俳優・菅谷瑞恵さん(51)=名古屋市、17歳で旧満州に渡り約7カ間現地で暮らした村出身の山口元女さん(98)=下竹田=ら8人が集い、山口さんの話に耳を傾けた。
 菅谷さんは、アートに携わる人が冬の信州に滞在し英気を養うプログラム「アーティストの冬眠」の一環で村に滞在。開拓団経験者の手記を朗読し、インターネットの動画投稿サイト・ユーチューブにアーカイブとして残す活動をライフワークにし、喫茶の店主・増塩理沙さんや常連客の協力で交流会が実現した。
 昭和19(1944)年春に満州へ渡った山口さんは自身の手記を読み「本当の戦況など知らずに渡り、国や村のためになると思って一生懸命農作業に励んだ」と振り返った。同時期に渡った村の女性6人で撮った写真も紹介。越冬隊で満州に残り現地で命を落とした仲間もいたといい「世界各地で紛争があるけれど、世界中の人が仲良く暮らしてほしい」と平和を願った。菅谷さんは「生きてきた経験や思いを克明に聞けて貴重な機会になった」と話した。
 アーティストの冬眠は令和3年に始まり、作家に滞在中の成果物を課さない点が特徴。今冬は松本市、山形村、王滝村など県内5カ所の宿泊施設などが受け入れている。