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塩尻・各務製粉 懐かしの味継承し「コンコンせんべい」発売 楢川農家組合レシピ基にアレンジ

楢川地域おこし農家組合加工部の味を継承して各務製粉が作った「コンコンせんべい」

 塩尻市宗賀でそば粉や乾麺を製造する各務製粉が先月、新商品として、キツネの形をしたごまたっぷりの揚げ菓子「コンコンせんべい」を発売した。後継者不足や経営難で本年度までに活動を終えた楢川地域おこし農家組合加工部(贄川)の女性たちが手作りしていた人気の菓子レシピを基にアレンジし、親しまれた味を継承している。

 薄くパリッとした食感が特徴で、黒と白のごまがふんだんに使われた甘く香ばしい味わい。塩尻に伝わるキツネ伝説の玄蕃之丞をイメージして型抜きした。乾麺に使う中力粉を用いて低温でゆっくり揚げた。製造企画担当の福島奈緒美さん(32)は「薄くするのにこだわった」と話す。
 レシピは、農家組合加工部が地元の贄川関所にちなみ20年以上製造していた小判型の「手形せんべい」が基で、「懐かしい味」と好評だ。加工部は高齢化や新型コロナウイルス禍による売り上げ減で施設の維持管理が難しくなり、技術はあるのに活動をやめざるを得ない状況に心を痛めていた。加工部長を務めた県農村生活マイスター・橋戸京子さん(72)は「受け継いで同じ味になってうれしい」と感謝していた。
 2、3年前に組合加工部が農協直売所に製造出荷していた季節の菓子・朴葉巻き作りを同社が引き継ぎ、両者の縁が生まれた。楢川地区の取引先から、せんべい復活の要望を受けていた。業務部の稗田憲司次長(52)は「人気商品の火を消したくない。新たな塩尻の名物になれば」と願う。同社が運営するおやき工房・旬菜花(宗賀)、木曽くらしの工芸館(木曽平沢)、新鮮市場ききょう(広丘郷原)、塩尻駅前の市観光センターで販売する。10枚入り税込み380円。