上土シネマの映写機復活! 懐かしの上映風景再び

平成20(2008)年に閉館した映画館・上土シネマ(松本市大手4)の35ミリフィルムの映写機1台が修理され、使えるようになった。大正、昭和にかけて「映画の街」としてにぎわった上土通りの元映画館に「カタカタカタ」と映写機が回る音や、スクリーンに映し出す淡い光の線など、フィルム映写機ならではの懐かしい風景が復活する。
上土シネマは昨年7月、レトロ体験型博物館上土シネマミュージアムとして開館した。映写機は大、小ホールの映写室に2台ずつ、閉館当時のまま残っていたが、使用できるかは分からなかった。うち小ホールの1台を、NPO法人コミュニティシネマ松本シネマセレクト理事長・宮嵜善文さんの紹介で、映写機の修理を手掛けるヤマガタ(福島県)に依頼し、メンテナンスや部品交換を経て使用できるようになった。
宮嵜さんによると、現在、一般の封切り映画を上映する全国の映画館はデータによるデジタル上映になっている。一方で、長野市の映画館「長野相生座・ロキシー」は定期的に映写機の上映をし、都内には映写機のみの映画館があるなど、フィルム映写機での上映が廃れたわけではない。
同ミュージアムは上土商店街振興組合、大正ロマンのまちづくり協議会、IT企業のラージヒル(東京)が運営を始めた。昨秋に一般社団法人となり、建物の改修などを積極的に進めていく計画だ。三村晃代表理事は「定期上映ができるよう、今後はクラウドファンディングなどで協力を募っていきたい」と話す。
15日午後2時からは、館内にあった映画館用のコマーシャルなどのフィルムを上映する。シネマ・トークショーも催す。入場無料で、QRコードから申し込む。問い合わせは上土商店街振興組合事務局(電話0263・36・2007)へ。