政治・経済

4月に豊科近代美術館を「安曇野市美術館」に改称 全国への発信力高める

大規模改修中の豊科近代美術館。4月に名称を変更し、8月末のリニューアルオープンを予定する

 安曇野市は4月、豊科の市豊科近代美術館の名称を「安曇野市美術館」に変更する。新年度に完了する大規模改修工事と市制施行20周年というタイミングを捉えた。改称で「安曇野」の名を全国にPRするとともに、「近代」の範囲に収まらない収蔵品の実情に合わせる。18日開会の市議会3月定例会に条例改正案を提出する。

 同美術館は、石川県生まれの世界的な彫刻家・高田博厚(1900~87)、諏訪市に住居兼アトリエを構えていた画家・宮芳平(1893~1971)らの美術作品を、昨年3月31日現在で3886点収蔵している。
 開館した平成4(1992)年度の収蔵作品は88点だった。30年が経過する中で購入や寄贈、他の施設からの所管替えでさまざまな美術資料が集積されてきた。「近代」が戦後のアートを指すことが多い一方、市出身の江戸時代の画家・狩野梅玄や文人画家・藤森桂谷(1835~1905)らの作品も収蔵している。文化課は「近代の枠に収まらなくなってきた。近代の名称で活動が制約されがちだった」とする。
 同美術館の名称を巡っては、合併当初から市議会などで「変えるべきだ」と話題になっていたという。市が平成30(2018)年に策定した第2次市文化振興計画でも、施策例として名称変更を挙げていた。シンプルに安曇野市美術館とすることで展覧会などで全国に送るポスターやチラシ、ウェブでの発信力も高まりそうだ。
 大規模改修では、全照明のLED(発光ダイオード)化や出入り口の自動ドア化、空調機器の更新・増設、断熱性能の向上などを行っている。総事業費は約7億6000万円となる。昨年6月から休館中で、8月末のリニューアルオープンとガラス作品の記念特別展を予定している。
 文化課は「展示構成を見直し、引き続き多くの市民が安曇野の美術や新しい芸術に触れられる展示拠点にしたい」としている。