地域の話題

豊科の料理店主・小穴さん 古い地層から出土した流木で彫刻 太古のロマン感じる作品に

出土した丸太から作った愛猫の置物と小穴さん

  安曇野市豊科南穂高でイタリア料理店「ピッコラーナ」を営む小穴章夫さん(75)が、店の近くの2000年以上前に形成されたと推定される地層から出土した丸太で、愛猫の置物を作った。小穴さんは「太古へのロマンを感じ、木工に思いを込めた」と話す。

  丸太が出土したのは、道路を挟んだ店の向かい。令和5年夏、砂利採取業者が掘り下げ、地下10メートルほどの水分をかなり含んだ地層から見つかった。丸太は直径約60センチ、長さ約4メートルあった。木は有機質で腐りやすいが、水の中では腐敗菌が繁殖しにくいという。店の周囲にストーブ用の薪を積んでいたこともあり、業者が顔見知りだった小穴さんに提供した。
 信州大学の原山智名誉教授(地質学)によると、地層は数万年前~2000年前(弥生時代)に形成されたと推定される。周辺は犀川、梓川がたびたび氾濫したことから、上流からの流木が堆積した可能性が高い。木はケヤキとみられ、いつの時代のものかは放射性炭素年代測定をしなければ正確には分からないという。
 小穴さんは、店の看板やデッキを手づくりするなど木工が得意だ。譲り受けた丸太は、チェーンソーとのみを駆使して、愛猫ムーちゃんをまねて置物にした。全長40センチ、高さ20センチ、幅24センチあり、ずっしりと重い。小穴さんは「出土した丸太をきっかけに、郷土資料を読んで地域の歴史や地理を学んだ。多くの人に、この地域のことを知ってもらいたい」と話している。