昭和30~40年代の「住まい」展示 松本の旧山辺学校校舎にスペース新設

松本市里山辺の旧山辺学校校舎に、昭和30~40年代の住まいを再現した展示が新設された。これまで明治~昭和初期の民俗資料を中心に展示してきたが、昭和も元年(1926年)から数えて今年で100年がたち少しずつ遠ざかる中、歴史の連続性や暮らしの変遷を知る上では当時の生活文化を記録し、伝えていく必要があると判断した。懐かしい家電製品や娯楽品など市民から寄せられた物品も加えながら、来年度に向けて充実を図る。
丸いちゃぶ台に脚付き白黒テレビ、黒電話、魔法瓶、木彫りの土産物...。校舎2階の広間に設けられた3畳の専用スペースには、昭和生まれの人であれば思わず「懐かしい!」と見入ってしまう日用品の数々が並ぶ。戦後の高度経済成長期、あちらこちらの家庭で目にした光景だ。中には漫画『いじわるばあさん』や歌手・山口百恵さんのレコードも。これまで博物館の資料や教材にはなりえなかった品々に光が当たった。
展示準備を始めたのは昨年夏。「自分たちが知るちょっと昔も、50年がたつと資料の収集対象になる」と大島浩学芸員(62)は意図を語る。市民にも呼び掛けて昭和の生活道具を募ったところ、足踏み式ミシンやビデオカメラなどこれまでに約50点が、持ち主の思い出やエピソードとともに寄せられた。
一点一点に目を通す中で職員が感じることは、少し前まで当たり前にあったものも、規格が変わったり新たな技術が登場したりするといつの間にか姿を消していることだという。大池德尚館長(69)は「どんな時代にも過去があり、一連の流れの上に今がある。昔を知って今を知り、未来を見通すためにも昭和の記録を大切にしていきたい」と話している。