閉店する井上本店の思い出をアートに 来店客が寄せたメッセージカード400枚で

3月31日に閉店する松本駅前の百貨店・井上本店(松本市深志2)に5日、来店客が寄せたメッセージカード約400枚をつなぎ合わせて、井上のロゴマークの真ん中に位置する「i(アイ)」を表現したモザイクアートが設置された。「おしゃれをして電車に乗って来たのが思い出」「入学式もピアノの発表会も洋服は井上で買いました」など、地域に親しまれてきた老舗デパートならではの思い出がぎっしり書き込まれている。
縦2.5メートル、横3.5メートルのボードにして、1階の正面に展示した。成人式の振り袖や婚約指輪、ランドセルなど、人生の節目の買い物をした思い出が多くつづられている。「娘の初めてのぬいぐるみを購入したのも井上です!」など、ほほ笑ましいメッセージもあった。
駅前への移転前、六九町(松本市大手2)にあった本店での思い出も多い。「展望レストランでおばあちゃんはホットケーキ、孫3人はソフトクリームを食べました」など、45年以上前の情景が浮かぶカードもある。屋上にあった滑り台や、階段にあった噴水のようにジュースが吹き上がる自動販売機の思い出もあった。
上嶋保店長は「たくさんの感謝の言葉と思い出に『ありがとうございます』という言葉しかない。最後の2カ月間、従業員みんなで頑張りたい」と話した。
今年創業140周年を迎え、1月2日に本店で来店客が思い出を記入し投函できるボックスを設置した。3月の閉店まで続け、カードは随時店内に飾る。